全部の歯をインプラントにするメリットとデメリットとは?総入れ歯との違い

▼目次

 
すべての歯をインプラントにする治療法は、口腔内の健康を長期的に維持するための選択肢の一つです。特に、総入れ歯との違いを知ることで、自分に合った治療法を選びやすくなるでしょう。ただし、メリットだけでなく、費用や手術のリスクなどデメリットも把握しておくことが大切です。
今回は、すべての歯をインプラントにする際の基礎知識、メリット・デメリット、総入れ歯との違いについて解説します。
 
 

1. 全部の歯をインプラントにする治療

全部の歯をインプラントにする治療は「フルマウスインプラント」と呼ばれ、多くの場合、すべての歯が欠損している患者さんが対象です。この治療法では、人工の歯根(インプラント)を顎の骨に埋め込み、その上に人工歯を固定します。
インプラント治療は時間と費用がかかりますが、しっかりと噛める機能を取り戻す治療法です。
 

<基本的な手順>

➀診断と治療計画の作成

歯科医師がCTスキャンやレントゲンで骨の状態を確認し、治療計画を立てます。
 

➁インプラントの埋入手術

顎の骨にインプラントを埋め込む手術を行います。
 

➂治癒期間

骨とインプラントが結合するのを待つために、数か月間の治癒期間があります。
 

➃人工歯の装着

治癒後、インプラントの上に人工歯を固定します。
 
 

<インプラントの種類>

主に以下のような種類があります。

①個別インプラント

歯ごとにインプラントを埋め込む方法で、安定性が高いことが特徴です。
 

➁オールオンフォー(All-on-4)

片顎につき4本のインプラントで全体を支える方法で、費用が比較的抑えられることが特徴です。
 
 

2. 全部の歯をインプラントにするメリット

全部の歯をインプラントにする場合、部分的なインプラント治療や総入れ歯と比べて、見た目や機能性、長期的な効果において多くのメリットがあります。
 

➀自然な噛み心地と見た目

インプラントは顎の骨に直接固定されるため、天然歯と近い感覚で噛むことができます。また、見た目も自然で審美性が高いのも特徴です。
 

➁骨の健康を維持できる

入れ歯では顎の骨が徐々に痩せてしまうことがありますが、インプラントは骨に刺激を与えるため、骨量を維持することに繋がります。
 

➂ずれたり外れたりしづらい

入れ歯とは異なり、インプラントは固定されているため、話したり食事をしたりしているときにずれにくい特徴があります。
 

➃長期間の使用が可能

適切なケアを行えば、インプラントは10年以上使用できるため、長期的に考えるとコストパフォーマンスが良いといえます。
 

➄食べ物を選ばない

硬いものでもしっかりと噛めるため、食事を楽しむことができます。
 
ただし、メリットを享受するためには、術後のメンテナンスや定期的な通院が必要です。
 
 

3. 全部の歯をインプラントにするデメリット・注意点

全部の歯をインプラントにすることは、多くのメリットがある一方、総入れ歯など他の治療法と比較して注意すべき点やデメリットも存在します。
 

➀費用が高額

インプラント治療は入れ歯やブリッジと比べて費用が高く、すべての歯を治療する場合は特に高額になります。治療費は主にインプラントの本数や種類、使用する人工歯の素材、診療所の設備や技術料などで変動します。
 

➁治療期間の長期化

インプラントが骨と結合するためには数ヶ月の期間が必要です。また、骨造成などの手術を別途行う場合には、さらに治療期間が長くなります。全部の歯をインプラントにする場合、最終的な仕上がりまで1年以上かかる可能性があります。
 

➂外科手術に伴うリスク

インプラント治療は外科手術を伴います。術後感染、出血、疼痛、神経障害、インプラントの脱落などリスクがあります。
 

➃定期的なメンテナンスが必須

インプラントはむし歯にはなりませんが、周囲の歯肉が炎症を起こす「インプラント周囲炎」になるリスクがあります。特に全部の歯をインプラントにした場合、毎日の口腔ケアと歯科医院での定期メンテナンスが欠かせません。これを怠ると、インプラントの脱落リスクが高まります。
 

⑤適応できない場合がある

骨量が不足している場合や、全身疾患(糖尿病など)がある場合には、インプラント治療ができないことがあります。このような場合には、骨移植や他の治療法が検討されます。
 
 

4. 全部の歯のインプラント治療を選ぶ理由と総入れ歯との違い

総入れ歯も、すべての歯を補うための選択肢ですが、インプラント治療とは異なる特徴があります。ここでは、それぞれの違いを比較してみましょう。
 

<インプラントと総入れ歯の違い>

➀固定方法

インプラントは顎の骨に固定されるため安定感が高い特徴がありますが、総入れ歯は吸着や接着剤で固定するため外れる可能性があります。
 

➁使用感

インプラントは噛み心地や発音が天然歯に近いですが、総入れ歯は噛む力が弱く、硬いものが食べにくい場合があります。
 

➂骨の変化

インプラントは骨が痩せることを防ぎますが、総入れ歯は骨が痩せて合わなくなる可能性があります。
 

➃費用

インプラントは費用が高い一方で、総入れ歯は比較的安価で、修理や交換が簡単といえます。
 

➄見た目

インプラントは自然な見た目を維持しやすいですが、総入れ歯は笑った時に入れ歯の境目が見えることがあります。
 
 
どちらを選ぶべきかは患者さんのライフスタイルや健康状態、予算によって最適な選択肢は異なります。
インプラントは「自然な感覚」と「長期的な骨の健康」を重視する方に適しています。一方、総入れ歯は「短期間での装着」や「費用を抑えたい」方に向いているといえるでしょう。
 
全部の歯をインプラントにする治療は、自然な噛み心地や見た目を求める方にとって魅力的な選択肢です。しかし、治療費や手術のリスクなど、慎重に検討すべき点も多くあります。一方で、総入れ歯は手軽に治療を開始できるメリットがあり、患者さんの状況に応じた選択が重要です。
 
横浜市緑区、長津田駅周辺でインプラント治療をご検討の方は、ぜひ長津田おさまる歯科クリニックまでご相談ください。
 
 

監修:長田 裕行


経歴:
昭和大学歯学部卒業
北海道大学予防歯科医局
熊澤歯科クリニック研修
神奈川県内歯科クリニック分院長
長津田おさまる歯科クリニック開業

 
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